症例報告
放射線照射後にイレウスにて発症した腸管膜様包裹症の1例
佐藤 篤司, 片岡 誠, 桑原 義之, 呉山 泰進, 川村 弘之, 篠田 憲幸, 加島 健利, 服部 浩次, 隅田 英典, 木村 昌弘, 中野 浩一郎, 正岡 昭
名古屋市立大学第2外科
放射線照射後にイレウスにて発症した腸管膜様包裹症の1例を経験したので報告する.症例は,子宮頸癌のため広範子宮全摘術と術後放射線照射を受けた既応を持つ62歳の女性で,腹部膨満感,嘔気を主訴に来院した.放射線障害による腸管癒着性イレウスの診断で腸切除術を施行した.終末回腸が厚さ約1 mmの被膜に覆われた10.8×7.6×7.4 cmの腫瘤を形成しており,腸管膜様包裹症と診断した.腸管膜様包裹症は比較的まれな疾患で,本邦では1970年以降現在までに本例を含め23例の報告があるのみで,放射線照射に起因した本症の報告は本例が初めてである.また,本症の術前診断は困難であるが,本例では腹部CTがその特徴的な所見をとらえていた.
索引用語
peritonitis chronica fibrosa incapsulata, adhesional ileus, radiation enteritis
日消外会誌 27: 1862-1866, 1994
別刷請求先
佐藤 篤司 〒467 名古屋市瑞穂区瑞穂町字川澄1 名古屋市立大学医学部第2外科
受理年月日
1994年1月12日
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