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第27巻 第8号 1994年8月 [目次] [全文 ( PDF 738KB)]
原著

高齢者(80歳以上)の食道癌患者の治療に関する検討

米川 甫, 島 伸吾, 吉住 豊, 別所 隆, 田中 勧

国立大蔵病院外科, 防衛医科大学校第2外科

 1990年までの11年間に防衛医科大学校第2外科および国立大蔵病院外科で入院治療を行った食道癌のうち80歳以上の19例を対象に術前状態を分析し治療法別に成績を検討した.1)19例中18例に循環,呼吸,肝,腎のいずれかに機能障害がみられたが,とくに循環機能障害,呼吸機能障害は約半数に認められた.2)5例に放射線治療を施行し,うち2例は6か月生存したが,1年生存は得られなかった.3)12例には開胸による一期的食道切除再建術が行われた.術死+在院死は41.7%であったが,1年生存率33.3%が得られた.4)手術例の在院死の原因は肺合併症がもっとも多かったが,再建臓器の血行障害による多臓器機能不全の部分症と考えられるものが半数を占めた.5)2臓器以上に機能障害をともなう症例,根治度C0になると予測される症例,放射線治療後再発例などには手術適応はないと考える.

索引用語
carcinoma of the esophagus, aged patients (80 years-old), esophagectomy

日消外会誌 27: 1892-1898, 1994

別刷請求先
米川 甫 〒157 東京都世田谷区大蔵2-10-1 国立大蔵病院外科

受理年月日
1994年4月13日

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