イヌ90分間肝温阻血モデルにおける門脈内prostaglandin E₁投与の効果

十束　英志, 佐々木　睦男, 森田　隆幸, 今　充

弘前大学医学部第2外科

　温阻血肝障害に対するprostaglandin E₁（PGE₁）門脈内投与の効果を，イヌ90分間肝温阻血モデルにおいて検討した．実験群はA；PGE₁非投与対照群，B；PGE₁末梢静脈投与群，C；PGE₁門脈内投与群の3群各10頭とし，PGE₁の投与は0.02 µg/kg/minで阻血前後持続的に行った．A，B群は全例24時間以内に死亡したが，C群では10頭中6頭が3日間以上生存した．動脈血中ケトン体比および肝静脈血分枝鎖アミノ酸/芳香族アミノ酸比から糖，アミノ酸代謝能はC群のみで維持されていた．これらの成績は，血中過酸化脂質の変動よりC群では肝温阻血再灌流による細胞膜障害が軽減されたためと推察された．さらにC群では肝温阻血後において血小板活性化因子の産生が抑制され，また，肝エンドトキシン処理能が維持されており，温阻血肝障害に対するPGE₁門脈内投与の有効性が確認された．

索引用語
warm ischemic liver damage, PGE₁, arterial ketone body ratio, lipid peroxide, platlet activating factor, endotoxin

別刷請求先
十束　英志　〒036　弘前市在府町5　弘前大学医学部第2外科

受理年月日
1994年4月13日

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