大腸粘液癌の臨床病理学的検討

岩川　和秀, 門多　健, 清地　秀典, 松田　良一, 小林　展章

愛媛大学医学部第1外科

　大腸粘液癌29症例を，その臨床病理学的特徴について分化型腺癌61例と比較検討した．粘液癌は分化型腺癌に比較して，発生頻度は右側結腸に多く，大きさも大きく（p＜0.01），Dukes分類において進行例が多く（p＜0.05），リンパ節転移率（p＜0.05）も高かった．また粘液癌を組織学的特徴によりPapillotubular type（以下，PT型と略記）22例とMucocellular type（以下，MC型と略記）7例に亜分類し比較検討した．
　MC型はPT型に比較して若年者に多く，より深部へ浸潤し，リンパ管侵襲およびリンパ節転移を高率に認めた．またPT型のみ半数に腺腫が併存し，絨毛腺腫が多くを占めた．以上により粘液癌は分化型腺癌より局所浸潤傾向が強く，中でもMC型はその特徴を強く有していると思われた．したがって粘液癌の治療は組織学的亜分類を考慮に入れて，広範なリンパ節郭清と積極的な局所切除が必要であると思われる．

索引用語
mucinous carcinoma of the large intestine, papillotubular type and mucocellular type, differentiated type adenocarcinoma

別刷請求先
岩川　和秀　〒791-02　愛媛県温泉郡重信町志津川　愛媛大学外科学第1講座

受理年月日
1994年3月2日

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