原著
大腸粘膜下層浸潤(sm)癌再発危険因子の検討
井原 厚, 大谷 剛正, 古川 祐介, 国場 幸均, 比企 能樹, 柿田 章
北里大学医学部外科
1971年5月~1992年12月の22年間に当科で開腹手術が行われた全大腸癌症例1,219例中sm癌症例は76例(6.2%)で,このうち単独大腸sm癌切除例54例を対象とした.これらの臨床病理学的特徴を検索することにより大腸sm癌再発危険因子について検討を行った.単独大腸sm癌切除例54例中リンパ節転移陽性例は11例(20.4%)で,いずれも深達度sm1c以上の症例であった.また,術後再発例は3例(5.6%)で,癌占居部位はS状結腸:1例,直腸:2例(Rs:1例,Rb:1例)であった.肉眼型では1型,Ip,IIa+IIcおのおの1例であった.再発例3例は,いずれも深達度sm2以上,ly3以上のリンパ節陽性例であった.低分化腺癌の症例中75%にリンパ節転移を,50%に再発を認めた.今回の大腸sm癌再発危険因子の検討より,当科におけるsm癌再発危険因子をまとめると,(1)深達度:Sm2以上,(2)組織型:低分化腺癌,(3)脈管侵襲:陽性例(特にly3以上),(4)リンパ節転移陽性例であった.
索引用語
colorectal submucosally invasive cancer, recurrence factor, poorly differentiated adenocar cinoma, lymph node metastasis
日消外会誌 27: 1954-1960, 1994
別刷請求先
井原 厚 〒228 相模原市北里1-15-1 北里大学医学部外科
受理年月日
1994年4月13日
|
PDFを閲覧するためにはAdobe Readerが必要です |
|