症例報告
胃原発血管周皮腫の1例
菅野 雅彦, 石黒 陽*, 小出 眞*, 榊原 宣
順天堂大学第1外科, 公立葛南病院外科*
血管周皮腫(hemangiopericytoma)はまれな腫瘍であり,1942年にStoutらにより,はじめて他の血管系腫瘍から独立した腫瘍として報告された.胃原発の血管周皮腫の1例を経験したが,胃原発の本腫瘍はきわめてまれな疾患であり,本邦では自験例を含め16例の報告をみるに過ぎない.
症例は74歳の男性.腹部腫瘤を主訴に近医受診.当科へ紹介入院となる.胃透視では胃体部大彎側の圧排像を認めたが粘膜面の変化は認められなかった.腹部超音波,CT検査では,左上腹部に嚢胞を伴った腫瘤像を認めた.血管造影では右胃動脈を栄養血管とする腫瘍像が認められた.開腹所見では,胃壁外性に発育した腫瘤が大網に被覆されていた.腫瘤の他臓器への癒着,浸潤はみられず,明らかなリンパ節の腫脹は認められなかった.病理組織学的には,血管周皮腫であった.
術後14か月を経過してるが再発,転移の徴候は認められていない.
索引用語
hemangiopericytoma, gastric vascular tumor
日消外会誌 27: 1984-1988, 1994
別刷請求先
菅野 雅彦 〒113 文京区本郷2-1-1 順天堂大学第1外科
受理年月日
1994年2月9日
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