肝内結石に併発した肝臓悪性線維性組織球腫の1例

国崎　主税, 小林　俊介, 城戸　泰洋, 高橋　利通, 山内　毅, 金村　栄秀, 笠岡　千孝

藤沢市民病院外科

　患者は73歳の女性で心窩部痛を主訴に来院し，腹部超音波検査，computed tomography, endoscopic retrograde cholangiopancreatographyで肝左葉の肝内結石症と診断し手術を施行した．術中所見で肝左葉外側区域由来の腫瘍を認め，横隔膜と胃に浸潤していた．肝左葉外側区域切除術，胃噴門側・横隔膜合併切除術，胆嚢摘出術，総胆管切開Tチューブドレナージ術を施行した．病理組織学的にはstoriform pattern，異型多核細胞，α₁-antitripsin陽性細胞などの所見から悪性線維性組織球腫（malignant fibrous histiocytoma：以下，MFHと略記）と診断した．術後5.5か月目に残肝再発により死亡した．MFHは軟部組織の悪性腫瘍中で最も多いとされているが，消化管原発の症例はまれであり，肝臓内間葉系細胞由来のMFHはわれわれが検索しえた範囲では17例であり，自験例が18例目とまれな症例であった．

索引用語
malignant fibrous histiocytoma, intrahepatic cholestasis

別刷請求先
国崎　主税　〒251　神奈川県藤沢市藤沢2-6-1　藤沢市民病院外科

受理年月日
1994年3月2日

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