特殊型（正常型）十二指腸乳頭部早期癌の1例

山田　修, 上辻　章二, 上原　正憲, 權　雅憲, 上山　泰男

関西医科大学第1外科

　今回，我々は正常型十二指腸乳頭部早期癌を経験したので報告する．患者は69歳の男性で，現病歴は上部消化管透視にて十二指腸憩室と十二指腸乳頭部の腫大を指摘され，精査目的で当院内科を紹介された．十二指腸内視鏡検査所見では，十二指腸乳頭部は発赤，腫大を認め十二指腸憩室内に開口していた．乳頭部生検を計4回施行したが，いずれもGroup II，炎症所見のみであつた．5回目の生検でGroup IV，十二指腸乳頭部高分化型腺癌と診断された．手術所見では十二指腸乳頭部は正常と思われ，胆道癌取扱い規約によるとH₀，Panc₀，D₀，P₀，N（-），Stage Iであった．膵頭十二指腸切除術，R₂郭清を施行しChild法にて再建した．病理組織学的所見では特殊型（正常型），m，panc₀，d₀，ly₀，v₀，n（-），ow（-），aw（-）であり十二指腸乳頭部早期癌と診断した．本症例では腺腫はなくde novo癌と診断され，乳頭部癌の発生母地はde novo癌を示唆するものと考えられた．

索引用語
carcinoma of the papilla of Vater, asymptomtic psncreas cancer, pancreaticoduodenectomy

別刷請求先
山田　修　〒570　守口市文園町1　関西医科大学第1外科

受理年月日
1994年4月13日

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