症例報告
Interventional radiologyによる巨大脾腎静脈shunt塞栓術が有効であった1例
金子 哲也, 原田 明生, 吉田 典正, 井上 総一郎, 村上 裕哉, 野浪 敏明, 中尾 昭公, 高木 弘
名古屋大学医学部第2外科
患者は57歳の女性.反復性の意識消失発作にて入院した.Color doppler検査で巨大な脾腎shuntが疑われ,経皮経肝門脈造影および選択的shunt造影にて精査を施行したところ,巨大な1本の脾腎静脈shuntであることが判明した.意識消失発作時の血中アンモニアは328µg/dlと高値であり,アミノ酸分析で芳香族アミノ酸高値,Fischer比は1.38と低値であった.ICG R15 44%,K値0.06 min-1であった.Interventional radiologyによる脾腎静脈shuntの塞栓術と部分的脾動脈塞栓術を施行した.術後,血中アンモニア値,芳香族アミノ酸値は正常化しFischer比,ICG値も改善した.術後10か月の現在,患者は健在で意識消失発作もなく,食道胃静脈瘤の発生も認めていない.高度肝障害を伴うportosystemic encephalopathyに対しInterventional radiologyによるshunt塞栓術は有効な治療手段であると思われた.
索引用語
portosystemic shunt encephalopathy, splenorenal shunt, percutaneous transhepatic embolization
日消外会誌 27: 2024-2028, 1994
別刷請求先
金子 哲也 〒466 名古屋市昭和区鶴舞町65 名古屋大学医学部第2外科
受理年月日
1994年4月13日
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