特発性血小板減少性紫斑病に対する腹腔鏡下脾臓摘出術の経験

下松谷　匠, 谷川　允彦, 谷口　哲郎, 野口　英樹, 木村　成里, 平松　義規, 藤井　秀則, 堀内　哲也, 増田　靖彦, 村岡　隆介

福井医科大学第2外科

　特発性血小板減少性紫斑病（以下，ITPと略記）の2例に対し腹腔鏡下脾摘術を施行したので報告する．症例は63歳の男性と57歳の女性で，いずれも内科療法にて副作用の合併したITPの患者である．手術：体位を右斜め側臥位とし，5本のトロッカーを挿入した．まず脾外側の腹膜を切開し，脾結腸間膜を脾に沿って切離した．次に胃脾間膜と膵脾間膜を脾に沿って徐々にEndo-Clip，Endo-Scissors，Endo-GIAを用いて脾臓を摘出した．脾臓はEndo-pouchに収納し，創を広げることなく砕いて腹腔より摘出した．出血量は190 mlと200 mlで，手術時間は3時間35分と3時間05分であった．ITPにおいて腹腔鏡下脾臓摘出術はステロイド療法に比べ，副作用，入院期間などはるかに優れており，寛解率も良く，また疾患としても若い女性に多いことより美容的にも優れており，治療方針として積極的に選択すべき方法と思われる．

索引用語
laparoscopic splenectomy, idiopathic thrombocytopenic purpura

別刷請求先
下松谷　匠　〒910-11　福井県吉田郡松岡町下合月23-3　福井医科大学第2外科

受理年月日
1994年2月9日

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