症例報告
盲腸癌との重複例を含む原発性虫垂癌の2例
堅野 国幸, 坂本 秀夫, 川角 博規, 万木 英一, 阿部 重郎, 衣笠 陽一1), 谷田 眞1)
済生会江津総合病院外科, 米子博愛病院外科1)
原発性虫垂癌は比較的まれな疾患であり,そのうち虫垂癌と他臓器癌との重複癌症例は非常に少ない.今回われわれは盲腸癌との重複癌症例1例を含む原発性虫垂癌の2例を経験したので,若干の文献的考察を加えて報告する.
症例1は70歳の女性.右下腹部痛を主訴に来院した.同部に表面平滑,弾性硬の小腫瘤を触知した.急性虫垂炎による盲腸周囲膿瘍を疑い,一部大網を含め虫垂切除術を施行した.病理組織学的に粘液嚢胞腺癌であり,合併切除した大網への浸潤も認められたため,後日右半結腸切除術を施行した.
症例2は79歳の女性.便潜血の精査目的にて入院.注腸造影検査および大腸内視鏡検査の結果,盲腸癌および盲腸粘膜下腫瘍を疑い,右半結腸切除術を施行した.病理診断の結果,盲腸は中分化腺癌,粘膜下腫瘍と思われた病変は虫垂原発の高分化粘液嚢胞腺癌であった.
索引用語
carcinoma of the vermiform apendix, double cancer of the vermiform appendix and the caecum
日消外会誌 27: 2039-2043, 1994
別刷請求先
堅野 国幸 〒695 江津市江津町1551 済生会江津総合病院外科
受理年月日
1994年4月13日
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