卒後教育セミナー
胃・十二指腸疾患のlaparoscopic surgery
大上 正裕
慶應義塾大学医学部外科
われわれは十二指腸潰瘍穿孔性腹膜炎ならびに早期胃癌(粘膜癌)に対して,腹腔鏡下手術を施行し良好な手術成績を得ている,5例の十二指腸潰瘍穿孔性腹膜炎に対して,腹腔鏡下に大量の加温生食水により腹腔内洗浄を行った後,穿孔部に大網を縫着し閉鎖した.全例,術後経過順調であり,術後H2受容体拮抗剤を使用することにより,潰瘍の再発なくコントロールされている.胃粘膜癌に対しては,病変が胃の前壁や大彎に位置する症例では,われわれが考案したlesion lifting法を用いた腹腔鏡下胃局所切除術を施行している.病変が胃の後壁,小彎もしくは噴門,幽門の近傍に位置する症例では,大橋らが考案した腹腔鏡下のintragastric surgery1)を用いて,病変の辺縁より十分に距離を離して粘膜および粘膜下層を切除する方法を行っている.これまでに10例の胃粘膜癌にこれらの手術を行っており,術後経過も順調で,組織学的に根治術と判断された.
索引用語
laparoscopic surgery, duodenal ulcer, early gastric cancer
日消外会誌 27: 2044-2048, 1994
別刷請求先
大上 正裕 〒160 新宿区信濃町35 慶應義塾大学医学部外科
受理年月日
1994年5月11日
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