卒後教育セミナー
腹腔鏡下胆嚢摘出術の合併症とその対策―本邦学会報告よりみた検討―
木村 泰三
浜松医科大学第1外科
腹腔鏡下胆嚢摘出術の合併症とその対策を,当科および52施設の学会報告の抄録から検討を加えた.施行された腹腔鏡下胆嚢摘出術は総計6,800例で,胆管損傷は74例(1.09%),血管損傷は12例(0.18%),腸管損傷は7例(0.10%),横隔膜損傷は8例(0.12%)にみられた.胆管損傷74例のうち51例(69%)は総胆管の損傷であった.主な損傷の原因は,胆管損傷では解剖の誤認と電気メス熱傷,血管損傷では第1トラカール穿刺,横隔膜損傷では電気メス熱傷であった.
これらの損傷を防ぐためには,胆嚢頸部を露出してからの胆嚢管剥離,胆管や横隔膜のそばでの電気メス使用の制限,術中胆道造影の施行,open laparoscopyの施行が重要と思われた.
索引用語
laparoscopic cholecystectomy, complication, prevention
日消外会誌 27: 2054-2058, 1994
別刷請求先
木村 泰三 〒431-31 浜松市半田町3600 浜松医科大学第1外科
受理年月日
1994年5月11日
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