原著
胃癌大動脈周囲リンパ節郭清例の臨床病理学的成績
北村 正次, 荒井 邦佳, 岩崎 善毅
東京都立駒込病院外科
胃癌大動脈周囲リンパ節(No.16)郭清例の臨床病理学的特徴について検討した.No.16郭清333例のうち67例(20.1%)に転移を認めた.この率は深達度とともに高く,3型・4型で高く,低分化型で高かった.癌の局在とNo.16の転移部位との関係では郭清部位を特定出来なかった.No.16(+)例のうち第3群リンパ節転移が明らかな61例では,n3(-)群の予後はn3(+)群より有意に良好であり(p<0.05),No.16郭清の意義を認めた.No.16郭清とQOLとの関係では,No.16郭清群では出血量が有意に多く(p<0.05),手術時間も長かった.アルブミン値の変動では,No.16郭清群は術後1,2週目で有意に低値を示したが,3か月後では両群ともに術前値以上の回復を示した.体重の変動では郭清群の減少率が大きいものの有意差はなかった.術後の合併症は両群に大きな差を認めなかった.以上より,郭清の適応と術前のリスク判定を厳密に行えば大きなデメリットはないと考える.
索引用語
para-aortic lymph node metastasis, para-aortic lymph node dissection, gastric cancer, prognosis, quality of life
日消外会誌 27: 2073-2078, 1994
別刷請求先
北村 正次 〒113 文京区本駒込3-18-22 東京都立駒込病院外科
受理年月日
1994年4月13日
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