原著
胃癌におけるCEA,CA19-9の末梢血移行経路に関する検討
広瀬 忠次, 生田目 公夫
昭和大学藤が丘病院外科
胃癌組織からのCEA,CA19-9の末梢血移行機序を解明する目的で,術中に末梢血,腫瘍還流静脈血(以下,還流血と略記),門脈血の両腫瘍関連抗原を測定し,さらに原発巣,リンパ節の免疫組織化学的検討を行い以下の結果を得た.1)CEAは末梢血に比べ還流血,門脈血で高値を示し,特に肝転移陽性例では有意差(p<0.05)を認めた.2)CEAは静脈侵襲と,CA19-9はリンパ管侵襲,リンパ節転移との関連性が推測された.3)原発巣の局在様式がStromal typeにおいてCEA値は,有意差はないものの末梢血に比べ還流血,門脈血で高い傾向がみられた.4)リンパ節転移巣の染色陽性率は,CEAに比べCA19-9で高い染色性を認め,さらに末梢血CA19-9は,リンパ節転移巣の染色陽性例が陰性例に比べ,有意(p<0.05)に高値であった,以上より,CEAは還流血を介しての経門脈経路が,CA19-9はリンパ行性での胸管経路による末梢血移行機序が考えられた.
索引用語
gastric cancer, carcinoembryonic antigen, carbohydrate antigen 19-9, draining venous blood from tumors, immunohistochemical staining
日消外会誌 27: 2079-2086, 1994
別刷請求先
広瀬 忠次 〒227 横浜市緑区藤が丘1-30 昭和大学藤が丘病院外科
受理年月日
1994年5月11日
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