原著
直腸癌局所再発症例の骨盤内浸潤形式からみた診断と治療
山田 一隆, 長谷 茂也, 丹羽 清志, 鮫島 隆志, 鮫島 淳一郎, 有村 耕一, 中馬 豊, 竹林 勇二, 松下 兼裕, 木之下 藤郎, 石沢 隆, 愛甲 孝
鹿児島大学第1外科
骨盤内浸潤形式から直腸癌局所再発46例を側方浸潤型(29例;63%),仙骨浸潤型(8例;17%)および限局型(9例;20%)に分類した.各浸潤型の再発期間に差異はなかったが,限局型における再発時の血清CEAは38%(3/8例)に陽性であつたのに対し,他の2型では全例が陽性を示した.限局型症例の診断では,初発徴候としての臓器浸潤症状と定期的画像検査が発見動機となっていた.各浸潤型における切除率および根治的切除率は,側方浸潤型でそれぞれ40%,0%,仙骨浸潤型で75%,50%,限局型で100%,100%であり,各型の根治的切除率に有意差が認められた.各浸潤型における生存期間は,限局型が他の2型に比べて有意の延長を認めた.また,根治的切除13例では,非根治的切除13例に比べて生存期間に有意の延長が認められた.局所再発の浸潤形式により再発後の予後に相違がみられ,とくに側方浸潤型における再発腫瘍の切除は予後の向上に貢献しなかった.
索引用語
local recurrence of the rectal cancer, total peivic exenteration, pelvic invasive type
日消外会誌 27: 2119-2125, 1994
別刷請求先
山田 一隆 〒890 鹿児島市桜ケ丘8-35-1 鹿児島大学医学部第1外科
受理年月日
1994年4月13日
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