症例報告
悪性リンパ腫を基礎疾患とした脾破裂の1例
松井 寛*, 安藤 重満, 榊原 堅式, 辻 秀樹, 浦上 年彦, 柄松 章司, 小林 徹
トヨタ記念病院外科(*現 名古屋市立大学第2外科)
悪性リンパ腫を基礎疾患とした脾破裂の1例を報告する.症例は64歳の女性で,不明熱にて近医入院,既往歴・外傷歴に特記すべきことなし.入院時LDHの著増,血小板減少,脾腫を認めた.約1週間後左側腹部痛出現しHbの低下も認め,脾腫の増大および腹腔内出血を疑われ,当院紹介受診となった.腹部CTにて多量の腹腔内出血を認めるとともに脾臓は著明に腫大し内部に断裂を認め,造影CTにて脾断裂部より造影剤の漏出を認めた.貧血が進行したため,開腹術を施行した.開腹すると,大量の凝血塊と暗赤色の巨大脾腫を認め,脾臓は非常に脆弱で下極部分で被膜とともに実質の破裂を認め,脾臓を摘出した.外見上,他の臓器には異常は認めなかった.摘出脾臓は大きさ19.5×13.0×5.0 cm,重さ760 gで,病理検査でnon-Hodgkin B型リンパ腫,diffuse large cell typeと診断された.術後化学療法を施行したが,4か月後に死亡した.
索引用語
spontaneous splenic rupture, malignant lymphorma
日消外会誌 27: 2166-2170, 1994
別刷請求先
松井 寛 〒467 名古屋市瑞穂区瑞穂町字川澄1-1 名古屋市立大学第2外科
受理年月日
1994年5月11日
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