胃癌切除症例における末梢血，脾静脈血および陣臓のリンパ球サブセットの推移ならびにOK-432による術前免疫療法の効果に関する検討

高金　明典, 寺島　雅典

岩手医科大学第1外科

　手術侵襲による全身免疫能の低下および脾臓の免疫能に及ぼす影響について検索することを目的として，胃癌切除例48例に対し，術前，術中，術後末梢血および術中脾静脈血のリンパ球サブセットを測定した．末梢血では術前にstage IV症例でsuppressor T細胞が高値をとる傾向を認め，また術中脾静脈血ではn（＋）例でsuppressor T細胞が高値をとる傾向を認めた．さらにOK-432術前投与による免疫抑制の解除の可能性について検討する目的で胃癌切除例45例に対し無作為抽出によりOK-432術前・術後投与群（22例）と術後投与群（23例）に群分けし，術前，術中，術後末梢血，術中脾静脈血および術中採取した脾細胞のリンパ球サブセットを測定した．OK-432術前投与により術中末梢血，脾静脈血および脾細胞のNK細胞が高値をとった．しかし，OK-432術前投与による生存率への影響は認められなかった．

索引用語
preoperative immunotherapy for gastric cancer, OK-432, lymphocyte subsets of peripheral venous blood, splenic venous blood and spleen

別刷請求先
高金　明典　〒020　盛岡市内丸19-1　岩手医科大学第1外科

受理年月日
1994年6月8日

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