症例報告
高度な陳旧性出血をともなった肝内胆管嚢胞腺腫の1例
小林 道也, 荒木 京二郎, 小濱 祥均, 川崎 博之, 河合 秀二, 緒方 卓郎
高知医科大学第1外科
症例は51歳の男性で,検診で肝腫瘤を指摘され当科紹介入院となった.入院時現症では頭頸部,胸腹部に異常を認めず,腫瘍マーカーの上昇は認めなかった.腹部超音波検査では肝左葉外側区域にもisoechoicな円形の腫瘤を,腹部CT検査では同部に直径が約7.5 cmで内部の濃度が均一な造影されない腫瘤を認め,良性嚢胞性病変が考えられた.しかし壁の一部に肥厚を認め,超音波検査上,内部が実質様でもあり,腫瘤を含めて肝左葉外側区域部分切除術を施行した.7.0×6.5×7.0 cm大の単房性嚢胞で,内部には淡褐色泥状の液体約140 mlと壊死様物質を認めた.組織所見は嚢胞内や壁周囲に高度な出血をともなう嚢胞性病変で被覆上皮は大部分剥脱しているが一部に胆管上皮様の立方状~低円柱状上皮による被覆と低乳頭状増生が認められ肝内胆管嚢胞腺腫と診断した.本邦での本症の報告例は現在まで自験例を含めて24例のみでこれらの検討を加えて報告する.
索引用語
cystic lesion of the liver, intrahepatic bile duct cystadenoma, diagnostic imaging
日消外会誌 27: 2248-2252, 1994
別刷請求先
小林 道也 〒783 南国市岡豊町小蓮 高知医科大学第1外科
受理年月日
1994年6月8日
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