症例報告
肝外発育型肝癌と鑑別困難であった腹部放線菌症の1例
小島 康知, 小野 栄治, 浅原 利正, 八幡 浩, 福田 康彦, 西亀 正之*, 横矢 仁**, 土肥 雪彦
広島大学第2外科, 同 保健学科*, 国立大竹病院内科**
症例は54歳の男性で,食道静脈瘤破裂にて内視鏡的硬化療法施行した既往があり,今回右季肋部痛を主訴に入院.超音波検査,CT検査,血管造影より肝外発育型肝癌の被膜下破裂と診断し,手術施行した.術後病理組織にて腹部放線菌症と診断した1例を経験した.しかし放線菌症の発生臓器は同定できなかった.腹部放線菌症はまれな疾患であり画像診断のみから術前確定診断を下すことは難しく,診断の困難な腹部腫瘤を認めた場合,頻度は少ないながら腹部放線菌症も鑑別診断の中にいれておかねばならない疾患と考えられた.
索引用語
abdominal actinomycosis
日消外会誌 27: 2258-2262, 1994
別刷請求先
小島 康知 〒734 広島市南区霞1-2-3 広島大学医学部第2外科
受理年月日
1994年6月8日
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