再発形式からみた食道癌に対する治療の工夫と成績

江口　礼紀, 井手　博子, 中村　努, 林　和彦, 吉田　一成, 中村　英美, 田中　元文, 羽生　富士夫, 山田　明義^＊

東京女子医科大学消化器外科, 同　放射線科^＊

　食道癌に対する治療がどのように遠隔成績や再発形式に反映されるかを検討した．1980年以降教室で切除した食道癌1,033例のうち治癒切除後再発が確認された症例は224例であった．切除年代別に1984年までの前期，1985年から1989年までの中期，1990年から1993年までの後期に区分すると平均上縦隔リンパ節郭清数は前期2.4個，中期4.8個，後期8.4個と年代とともに増加していた．遠隔成績は前期に比較し中期，後期で向上していた（p＜0.001，p＜0.01）．上縦隔徹底郭清例は非郭清，標準郭清例に比較し成績良好であった（p＜0.01，p＜0.05）．手術単独例に比較し術後照射例，術後化療例で成績良好であった（p＜0.01）．しかし切除年代別，上縦隔郭清度別および補助療法の有無別の再発形式に明らかな差はなく，治療法に対応する再発形式の変化はみられなかった．上縦隔徹底郭清後の化療例では手術単独例に比較し無再発期間が短かく（p＜0.05）薬刺感受性を考慮した投与が望まれた．

索引用語
esophageal cancer, mode of recurrence after operation for esophageal cancer, multidisiplinary treatment fer esophageal cancer

別刷請求先
江口　礼紀　〒162　新宿区河田町8-1　東京女子医科大学消化器外科

受理年月日
1994年7月6日

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