特集
食道癌における転移再発規定因子
嶋田 裕, 神田 雄史, 和形 隆志, 柴垣 一夫, 戸田 省三, 山添 善博, 前谷 俊三*, 今村 正之
京都大学第1外科, 京都大学生体医療工学研究センター*
いかなる因子が食道癌切除術後の再発予知因子として重要か,赤池の情報量基準(AIC)を用いて1981~1992年の159例(CI-CIII,耐術例)を対象に検討を行った.再発全般に関与する重要因子はリンパ節転移(以下N)個数(特に3個以上),Nの程度,根治度,規約進行度であった.血行性再発に重要なのは細胞培養形式(特に短期再発),腹部N,上縦隔N,血管侵襲,腫瘍長径(特に3 cm以上)で,リンパ節再発に関与するのは縦隔全般のNであった.頸部Nは再発予知には重要な因子ではなかった.遺伝子ではint-2が癌性胸膜炎に関与していた(検討症例35例).進行度症例の片寄りにより,治療による再発の制御では術後照射のみに効果を認め,CDDPの単独投与による化学療法と3領域郭清は効果を認めなかった.しかし3領域郭清後の血行性再発に上縦隔Nの関与は小さく,またリンパ節再発に上縦隔Nの関与は認められず,3領域郭清の効果と考えられた.今後再発形式を考慮した集学的治療の必要性が示唆された.
索引用語
predictive factor of recurrence, esophageal cancer, akaike's information criteria
日消外会誌 27: 2273-2278, 1994
別刷請求先
嶋田 裕 〒606 京都市左京区聖護院川原町54 京都大学医学部第1外科
受理年月日
1994年7月6日
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