特集
漿膜浸潤胃癌の再発形式からみた補助化学療法のあり方
太田 恵一朗, 中島 聰總, 大山 繁和, 石原 省, 西 満正
癌研究会附属病院外科
1960年から1990年までに癌研外科で切除された単発胃癌のうち,POHOT3でn2以下の根治切除(根治度Cを除く)例1,027例を対象とし,再発死亡した426例の中で再発形式の明らかな症例を用いて,臨床病理学的背景要因を検討し,再発高危険群を選出した.再発高危険群の生存率を補助化学療法の有無別に算出し,漿膜浸潤胃癌の再発形式からみた適正な補助化療の有り方を考えた.漿膜浸潤胃癌では,全領域,長径8 cm以上,浸潤型,se,リンパ節転移(+),por2は腹膜播種再発の危険因子であるが,従来の補助化療は無効であり,制癌剤の腹腔内投与などを主体とした新たな対策が求められる.また,60歳以上,限局型,リンパ節転移(+),pap,tub1,2は血行転移再発の危険因子であり,静脈経路を主体とした補助化療が有効であった.今後,再発形式に応じたtype oriented therapyが望まれる.
索引用語
gastric cancer with serosal invasion, peritoneal dissemination, hematogeneous metastasis
日消外会誌 27: 2279-2283, 1994
別刷請求先
太田恵一朗 〒170 豊島区上池袋1-37-1 癌研究会附属病院外科
受理年月日
1994年7月6日
|
PDFを閲覧するためにはAdobe Readerが必要です |
|