特集
リンパ節転移と胃癌治療―予測に基づいた治療への工夫―
生越 喬二, 中村 健司, 宮治 正雄, 岩田 邦裕, 近藤 泰理, 田島 知郎, 三富 利夫
東海大学第2外科
術前にHLA抗原を測定した単発胃癌切除例564例を対象として,リンパ節高転移群の抽出を試みた結果,すでに報告しているように,HLA-DR4陽性例ではリンパ節転移が高頻度に認められたが,組織型別に検討すると,低分化腺癌(por)でのみDR4陽性例は,corrected p値で有意にリンパ節転移が高頻度に認められた.そこで,HLA-DR4抗原に注目して,リンパ節転移を予測した外科的治療が将来可能かどうか検討を行った.DR4陽性例,陰性例の5年生存率は,それぞれ,85.4%,94.0%と有意の差が認められた.特に,低分化腺癌(por)例では,59.5%,83.1%と有意の差が認められた.HOP0症例でDl-3以上の郭清を行ったDR4陰性例では,癌の占居部位A,AMおよびC,CMでは#8以上の転移が見られず,Dl+#(7)リンパ節重点郭清の適応症例と考えられた.
索引用語
HLA-DR4 antigen, gastric cancer, lymph node metastasis
日消外会誌 27: 2284-2288, 1994
別刷請求先
生越 喬二 〒259-11 伊勢原市望星台 東海大学医学部第2外科
受理年月日
1994年7月6日
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