特集
再発・転移形式別にみた胃癌治療の工夫
杉山 保幸, 佐治 重豊, 国枝 克行, 浅野 雅嘉, 近石 登喜雄, 辻 恭嗣
岐阜大学第2外科
胃癌の再発・転移を予防し,予後を改善する目的で周術期に種々の工夫を行った.まず,開腹時に洗浄細胞診を施行した結果,P0と判断しても陽性となった例が10.8%にみられ,P0で細胞診が陰性であった症例の生存曲線と比較して不良であった.これらが潜在的腹膜播種陽性例として手術時の局所免疫化学療法の適応になると考えられた.また,開腹直後に癌巣部周辺の胃漿膜下にneocarzinostatn(NCS)を投与すると,領域リンパ節への移行は良好であり,さらに胃癌細胞のNCSに対する薬剤感受性が80.0%と高率であったことから,本療法は手術後の遺残微小転移陽性リンパ節の治療に有用であると考えられた.一方,肝転移に対しては,抗癌剤とbiological response modiners(BRM)を組合せた間欠的動注療法がかなり良好な治療成績をもたらした.以上から,周術期に化学療法剤やBRMを適切に組合わせて投与することで,胃癌の再発・転移をかなりの程度防止できることが判明した.
索引用語
metastasis or recurrence of gastric cancer, locoregional immunochemotherapy
日消外会誌 27: 2293-2297, 1994
別刷請求先
杉山 保幸 〒500 岐阜市司町40 岐阜大学医学部第2外科
受理年月日
1994年7月6日
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