大腸癌再発例からみた術前，術中，術後の治療の工夫

奥山　和明, 小出　義雄, 松原　宏昌, 松原　久裕, 木下　弘寿, 舟波　裕, 松下　一之, 浦島　哲朗, 加藤　昌孝, 小林　進, 中島　伸之^＊, 磯野　可一

千葉大学医学部第2外科, 同　1外科^＊

　大腸癌再発例からみた術前，術中，術後の治療の工夫と成績について検討した．対象は教室の大腸癌切除770例と同期間の肝転移切除94例，ならびに37施設共同研究で行った大腸癌登録例500例である．絶対非治癒切除例を除いた教室の再発判明160例の内では，臓器再発が85例（53.1％）と最も多く，ついで局所再発49例（30.6％）の順である．臓器再発85例の内では肝再発が68.2％，局所再発49例の内では吻合部再発が36.8％と最も多くなっている．治療の工夫として，術前には，異時性肝転移の肝切除前にTAI，TAEの動注療法を，術後はmitomycin C（MMC）とadriamycin（ADM）の肝動脈内動注療法を行い残肝再発予防に有意差であった．術中には，前方切除例の吻合前に残存直腸の生食水での2,000 ml以上の洗浄を行い吻合部implantadonが防止された．治癒切除例には術後に5-fluolouracil（5-FU），またはMMCの導入療法＋carmofur（HCFU）の補助化学療法で血行性再発率の有意な低下を認めた．

索引用語
colorectal cancer, recurrence of implantation

別刷請求先
奥山　和明　〒260　千葉市中央区亥鼻1-8-1　千葉大学医学部第2外科

受理年月日
1994年7月6日

PDFを閲覧するためにはAdobe Readerが必要です