特集
細胞接着分子NCAMとDCC癌抑制遺伝子
平本 孔彦, 合地 明, 片岡 正文, 岡林 孝弘, 山田 隆年, 嶋村 廣視, 買原 彰彦, 丸尾 幸喜, 剱持 雅一, 折田 薫三
岡山大学医学部第1外科
直腸癌の神経浸潤と深い関わりを持つ神経接着分子neural cell adhesion molecule(NCAM)について,臨床病理学的な面から免疫組織染色法にて検討し再発形式の予測をした.また,高い相同性を有する癌抑制遺伝子の1つであるdeleted in colorectal carcinoma(DCC)遺伝子についてreverse transcription-polymerase chain reaction(RT-PCR)法にて大腸癌の各占居部位別変異率を検索し,NCAMとの相関性を合わせて検討した.大腸癌ではNCAMは組織学的進行度と無関係に約40%の発現率を認め,直腸癌では中分化型に高い陽性率61%を示した.各占居部位別DCC遺伝子変異は対象症例がまだ少ないため明確には言えないが右半結腸部の方が高い傾向を示した.また,DCC遺伝子異常はリンパ節転移のみと高い相関性を認めた.NCAM発現とDCC遺伝子異常とに有意な相関性は認めなかったものの,NCAM陰性DCC遺伝子異常症例に肝転移が多い傾向を示した.
索引用語
neural cell adhesion molecule, deleted in colorectal carcinoma, local recurrence, distant metastasis in colorectal cance
日消外会誌 27: 2308-2311, 1994
別刷請求先
平本 孔彦 〒700 岡山市鹿田町2-5-1 岡山大学医学部第1外科
受理年月日
1994年7月6日
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