特集
肝細胞癌に対する1区域付加切除の有用性と問題点
森本 泰介, 岡本 正吾, 光吉 明, 猪飼 伊和夫, 田中 明, 森 敬一郎, 山岡 義生
京都大学第2外科
原発性肝細胞癌に対する絶対的根治手術としての1区域付加切除の有用性を主張してきたが,これまでに経験した35例の1区域付加切除症例を検討したところ,5例の再発例と3例の死亡例を認めた.後区域の腫瘍に対して右葉切除を行った8症例,あるいは腫瘍径20 mm以下の10症例には再発を認めなかった.細小肝癌症例においては,TW(-)群の絶対治癒切除群では再発を認めたが,1区域付加切除症例では再発を認めなかった.また腫瘍径を問わず単発,結節型症例と比較すると,1区域付加切除群が高い無再発生存率を示した.これらの結果から細小肝癌はもとより,腫瘍径の大きな症例に対して積極的に拡大肝切除を行うことの有用性が再確認されたと同時に,1区域付加切除術の有用性をさらに高めるためには,より厳密な適応決定が必要と考えられた.
索引用語
hepatocellular carcinoma, +1 segment resection, curative hepatic resection
日消外会誌 27: 2312-2316, 1994
別刷請求先
森本 泰介 〒606 京都市左京区聖護院川原町54 京都大学医学部第2外科
受理年月日
1994年7月6日
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