特集
病理組織学的ならびに分子生物学的特徴と再発様式からみた胆管癌治療上の問題点
田端 正己, 小倉 嘉文, 井戸 政佳, 野口 孝, 川原田 嘉文, 水本 龍二
三重大学第1外科
相対非治癒以上の胆管癌切除例64例の病理組織学的ならびに分子生物学的特徴や再発様式を検索して,胆管癌治療上の問題点について検討した.下部や中部胆管癌では癌深達度がseゃsiであってもew0とすることが可能であったが,肝管・上部胆管癌ではm,fmの早期胆管癌の4例とssの1例の計5例がew0の切除ができたに過ぎなかった.また肝側の腫瘍先進部が胆管壁外の脈管・神経浸潤であったものが約40%に認められ,特に肝管・上部胆管癌では48.1%がhw1に留まっていた.切除後の再発様式をみると,相対非治癒切除例では術後3年未満に局所再発するものが圧倒的に多く,これらは晩期再発例や長期無再発例に比べ,AneuploidのものやTenascin陽性例が有意に高率であった.さらに治癒切除が可能であっても,胆管壁外の脈管・神経浸潤陽性例では術後遠隔期に再発をきたすものがあり,長期にわたる注意深い観察の必要性が指摘された.
索引用語
carcinoma of the bile duct, cancer invasion on the surgical margin, mode of tumor recurrence
日消外会誌 27: 2327-2331, 1994
別刷請求先
田端 正己 〒514 津市江戸橋2-174 三重大学医学部第1外科
受理年月日
1994年7月6日
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