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第27巻 第10号 1994年10月 [目次] [全文 ( PDF 1102KB)]
特集

消化器外科手術における抗生剤の使用法をめぐって

炭山 嘉伸, 横山 隆1)

東邦大学外科学第3講座, 広島大学総合診療部1)

 第43回日本消化器外科学会シンポジウムの主眼は,MRSAのような高度耐性菌を発生させないための抗菌薬使用のあり方を探り,薬剤のある程度の選択基準を具体的に打ち出すことにあった.討論のテーマを抗菌薬を投与する,1)時期,2)期間,3)薬剤の選択一に絞って,事前に行われた全国アンケート調査結果,シンポジストのディスカッションとアンサーチェックシステムによる会場の参加者の意見を反映させた討論が行われた.1)抗菌薬の投与時期では,手術日以前から抗菌薬を投与する術前投与は,下部消化管手術を中心に会場のアンサーチェックで82%に行われていた.しかし,術前に抗菌薬を投与することにより,腸管内の細菌叢が乱れ,MRSAのような高度耐性菌が出現しやすいことが指摘された.抗菌薬の術中投与を行っているとする回答は,会場のアンサーチェックで87%に術中投与を実施したいとしており,積極的に取り入れる姿勢が示された.2)抗菌薬の投与期間では,長期間投与は耐性菌の出現や菌交代現象の恐れがあることが指摘された.予防的抗菌薬の投与期間は3~4日として,その時点で感染微候があれば治療薬に切り替えることが原則とされた.3)抗菌薬の選択では,感染予防のnrst choiceの抗菌薬は強毒菌だけをねらって抗菌薬を選択すべきであるとされ,食道癌・胃癌手術では目標とする細菌は,黄色ブドウ球菌,表皮ブドウ球菌などのグラム陽性球菌が主であるので,通常の場合,第1世代・第2世代セフェム薬が適当とされた.胆石手術では腹腔鏡下胆嚢摘出術,開腹手術を行った場合も含め,術中1回から2~3日間,薬剤は第1世代セフェム薬と第2世代セフェム薬でほとんどカバーできるとされた.肝・膵手術の感染予防薬としては,Piperacillinまたは第2世代で充分とする意見が会場のアンサーチェックで73%であった.大腸癌手術では,第2世代セフェム薬を第1選択として,汚染が強い手術では第3世代セフェム薬,Flomoxefが適応とされた.術後感染予防薬から感染治療薬に変更する時期は,術後3日目以降に感染徴候のみられる時点で治療薬に変更すること,また,起因菌不明時の感染治療薬の選択,術後特殊な感染症, とくに,真菌症の診断と治療について討論された.

索引用語
postoperative infection, antibiotics, MRSA

日消外会誌 27: 2358-2367, 1994

別刷請求先
炭山 嘉伸 〒153 目黒区大橋2-17-6 東邦大学付属大橋病院第3外科

受理年月日
1994年7月25日

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