原著
食道早期癌に対する内視鏡的粘膜切除術の検討
丸山 憲太郎, 塩崎 均, 田村 茂行, 井上 雅智, 門脇 隆敏, 岩沢 卓, 嶋谷 薫, 松井 成生, 五福 淳二, 高山 卓也, 森 武貞
大阪大学医学部第2外科
当教室ではこれまでに早期食道癌が疑われた症例10例(12病変)に対し内視鏡的粘膜切除術(以下,EMRと略記)を施行してきたが,これらのうちで術後に癌と診断された7例(8病変)を対象に,食道早期癌に対するEMRの適応について,特に深達度の面から検討した.
8病変の切除後の深達度診断は,epが4病変,mmlおよびmm3がそれぞれ2病変であった,mm3癌のうちの1病変ではリンパ管侵襲が疑われ,追加治療として切除後2週目より縦隔に対する放射線照射を行った,最長で2年9か月経過を見ているが,全症例無再発生存中である.
現在のところ,深達度mm2までの早期癌がEMRの絶対的適応であると考えられ,mm3ではly(+)の可能性が高く相対的適応と思われるが,ly(+)症例でも追加治療により十分根治が可能な症例も含まれており,今後mm3癌に対してもEMRの適応拡大が期待できると考えられた.
索引用語
early esophageal cancer, superficial esophageal cancer, endoscopic esophageal mucosal resection
日消外会誌 27: 2369-2375, 1994
別刷請求先
丸山憲太郎 〒565 吹田市山田丘2-2 大阪大学医学部第2外科
受理年月日
1994年6月8日
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