症例報告
食道癌術後の再建胃管に発生した出血性潰瘍に対し胃管切除術を施行し救命した1例
河合 秀樹, 阿保 七三郎, 北村 道彦, 橋本 正治, 泉 啓一, 天満 和男
秋田大学第2外科
食道癌術後の後縦隔経路再建胃管に発生した潰瘍より大量出血を来し,ショック状態に陥った患者に対し胃管切除術を施行することにより救命しえた症例を報告する.忠者は72歳の男性で1988年6月1日,食道癌根治術を施行され,術後に計80Gyの頸部,縦隔T字照射を受けている.再発の兆候も見られず順調に経過していたが,術後3年7か月後に突然下血,吐血し,ショック状態となったため,緊急入院し内視鏡を施行,再建胃管に発生した潰瘍からの出血と判明し内視鏡的止血およびバルーンによる圧迫止血を試みるも止血できず胃管切開直視下縫合による止血術を2回施行するも再出血を来したため3回目の手術で開胸下に胃管切除術,頸部食道皮膚瘻,空腸瘻造設術を施行しようやく止血しえた.患者は6か月後に有茎結腸による胸壁前食道再建術を受け現在経口摂取訓練中である.本症例では術後の照射および酸分泌能の残存が潰瘍形成に関与していたものと考えられる.
索引用語
ulcer in the reconstructed gastric tube, postoperative complication after surgery for esophagel cancer, transthoracal resection of gastric tube
日消外会誌 27: 2424-2427, 1994
別刷請求先
河合 秀樹 〒010 秋田市本道1-1-1 秋田大学医学部第2外科
受理年月日
1994年6月8日
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