症例報告
大量の血性腹水を伴った胃平滑筋肉腫の1例
奥田 純一, 関川 敬義, 小河原 忠彦, 大沢 俊也, 井上 理恵, 藤井 秀樹, 松本 由朗
山梨医科大学第1外科
胃平滑筋肉腫は胃悪性腫瘍の約1%前後とされているが,その中で腹腔内出血あるいは血性腹水を伴う症例はまれである.約10lと大量の血性腹水を伴った胃平滑筋肉腫の1例を経験したので報告する.症例は71歳の男性で心窩部に腫瘤を触知し,胃粘膜下腫瘍と診断されたが,手術を拒否していた.約1年8か月後に著明な腹部膨満が出現し,入院精査の結果胃粘膜下腫瘍と大量の血性腹水が認められた.腫瘍は胃前庭部壁より壁外性に発育し,最大径は10 cmで遊離腹腔側に陥凹を形成していた.一部肝外側区域への浸潤も疑われたため,胃亜全摘術,肝外側区域部分切除術を施行した.病理組織検査では,胃原発の平滑筋肉腫であった.大量の血性腹水貯留の機序として,腫瘍の破綻出血に加え,腹腔内に遊離した腫瘍内の壊死物質により反応性に腹水が貯留したと推察された.
索引用語
leiomyosarcoma of the stomach, bloody ascites
日消外会誌 27: 2428-2432, 1994
別刷請求先
奥田 純一 〒409-38 山梨県中巨摩郡玉穂町下河東1110 山梨医科大学第1外科
受理年月日
1994年7月6日
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