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第27巻 第11号 1994年11月 [目次] [全文 ( PDF 426KB)]
症例報告

石灰化を伴った胃癌の1例

森谷 尚人, 水本 清, 加藤 一吉, 山本 洋之, 岸 清志, 河村 良寛

鳥取県立中央病院外科

 悪性腫瘍の石灰沈着は甲状腺,乳腺,肺,腎,卵巣などの臓器と比較すると胃の悪性腫瘍では比較的まれとされており,本症例を含め本邦報告例は49例にすぎない.
 本症例は腹部X線写真で著明な石灰化を示したBorrmann 3型胃癌の症例である.患者は39歳の女性で,主訴は心窩部つかえ感.上部消化管内視鏡検査で噴門部のBorrman 3型胃癌(印環細胞癌)と診断したが,腹部X線検査,上部消化管X線検査,腹部CT検査,腹部超音波検査のいずれでも腫瘍部分に著明な石灰化を認めた.所属リンパ節No.1,No.3に転移を認め,漿膜浸潤もあり胃全摘術および膵脾合併切除術を施行した(P0H0S2N1 Stage III R2絶対治癒切除),切除標本の病理組織学的所見では組織型は印環細胞癌,深達度se,n1(+)で膵臓および脾臓には浸潤を認めなかった.腫瘍の石灰化部分よりリン酸カルシウム,炭酸カルシウムが検出された.術後10か月後に癌再発のため死亡された.
 本症例を含めた本邦報告例49例について検討を行った.

索引用語
gastric cancer with calcincation, signet-ring cell carcinoma

日消外会誌 27: 2437-2440, 1994

別刷請求先
森谷 尚人 〒689-32 鳥取県西伯郡名和町名和600-1 名和診療所

受理年月日
1994年7月6日

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