特異な発育形式をとって膵頭部実質内へ圧排性発育した十二指腸平滑筋腫の1例

赤在　義浩, 三村　哲重, 塩路　康信, 高畑　隆臣, 岡本　康久, 戸田　耕太郎, 木村　秀幸, 大原　利憲, 筒井　信正, 広瀬　周平, 片岡　和男, 能勢　聡一郎^＊

岡山済生会総合病院外科, 同　病理^＊

　症例は64歳の女性．十二指腸潰瘍からの出血のため緊急手術となり，十二指腸に瘻孔を形成する腫瘤が膵頭部に認められ膵頭十二指腸切除術を施行した．切除標本では膵頭部に5×3 cm大の腫瘍を認め中心部に出血壊死をきたし十二指腸壁に破綻していた．病理組織学的所見では十二指腸固有筋層と連続した平滑筋腫であった．
　十二指腸平滑筋腫が膵頭部実質内で発育したとの報告は本邦2例目で，そのまれな発育形式について検討をおこなった．膵頭部には腹側膵と背側膵の癒合部があり，いわゆる“weak spot”^1）となっている．十二指腸Vater乳頭口側で膵背側に発生した腫瘍が“weak spot”に滑り込み膵内発育したと考えられた．

索引用語
pancreas head tumor, duodenal leiomyoma, mode of growth within pancreas head parenchyma

別刷請求先
赤在　義浩　〒700　岡山市伊福町1-17-18　岡山済生会総合病院外科

受理年月日
1994年7月6日

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