Bio Pumpを使用したhepatic vascular exclusion法による巨大肝細胞癌4切除例の経験

高野　靖悟, 高橋　知秀, 関　訓芳, 渡辺　善広, 伊藤　豊, 大石　均, 河野　悟, 川上　新仁郎, 三木　敏生, 岩井　重富, 田中　隆

日本大学第3外科

　肝右葉を占拠する巨大肝細胞癌4例に対してBio Pump下にveno-Venous by-passとveno-portal by-passを併用してhepatic vascular exclusionを行い，肝切除を安全に施行した．さらに3症例にin situ cold perfusionと肝表面冷却を併用した．症例は46歳の男性， 45歳の男性，50歳の女性，58歳の女性でそれぞれ拡大右葉切除，右3区域切除，右葉切除，拡大右葉切除を施行した．全症例とも肝硬変は合併していなかった．Bio Pump作動時間についてはそれぞれ35分，117分，59分，38分であり，術中出血量はそれぞれ7,555 ml，2,155 ml，2,310 ml，1,562 mlであった．術後は3例に腹水の貯留を認めたが，肝不全，腎不全傾向はなく全例軽快退院した．肝脱転の困難な症例や術中大出血が危惧される症例には本法は有効な方法と思われた．

索引用語
hepatocellular carcinoma, Bio Pump, hepatic vascular exclusion

別刷請求先
高野　靖悟　〒173　板橋区大谷口上町30-1　日本大学医学部第3外科

受理年月日
1994年6月8日

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