症例報告
虫垂憩室の2症例
宇野 雄祐, 岩瀬 孝明, 西浦 和男, 高橋 英雄, 安田 政実*, 前田 宜延*
北陸中央病院外科, 富山医科薬科大学第1病理*
虫垂憩室症は比較的まれな疾患であるが,われわれは穿孔例と検診発見例の2例を経験した.
症例1は85歳の男性.右下腹部痛のため来院し,急性虫垂炎の診断で手術を行った.虫垂根部に1 cm大の憩室があり,その一部に穿孔を認めた.病理組織学的に,憩室は仮性虫垂憩室であり,穿孔は憩室炎によるものであった.症例2は60歳の男性.人間ドックを受診し,便潜血検査陽性であったため,注腸造影X線検査を行った.S状結腸より口側の大腸全体に多数の憩室がみられ,虫垂にも14個の憩室が存在していた.
虫垂憩室の頻度は,切除例,剖検例,注腸造影X線検査例において,1%前後1)~9)と考えられるが,その穿孔率は高いので,虫垂憩室保有者には汎発性腹膜炎の予防のために虫垂切除術を行うことは意義のあることであると考える.
索引用語
diverticulosis of the vermiform appendix, perforation of the diverticulum of the vermiform appendix
日消外会誌 27: 2476-2480, 1994
別刷請求先
宇野 雄祐 〒932 小矢部市埴生2124-1 北陸中央病院外科
受理年月日
1994年7月6日
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