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第27巻 第11号 1994年11月 [目次] [全文 ( PDF 495KB)]
症例報告

子宮広間膜異常裂孔ヘルニア(pouch type)の1例

桐山 昌伸, 全並 秀司, 加藤 丈博

国民健康保険上矢作病院外科

 子宮広間膜異常裂孔に生じた内ヘルニアは著者らの集計では本邦で13例と,極めてまれである.最近我々は小腸捻転を伴った本疾患のpouch typeの1例を経験したので報告する.
 症例は68歳の女性.腹痛,嘔吐を主訴に入院した.保存的に経過観察していたが,第4病日,腹痛増強し,腹部全体に筋性防御を示した.ショック状態に陥り,絞扼性イレウスと診断し,同日,緊急手術を行った.骨盤腔は,子宮広間膜に包嚢された小児頭大の腫瘤によって占拠されていた.子宮広間膜後葉に径5 cmの異常裂孔を認め,約2 mの回腸が嵌入し盲嚢を形成していた.嵌入した回腸は,約70 cmにわたり強い血行障害を伴い,小腸捻転を引き起こしていた.これより子宮広間膜異常裂孔ヘルニアのpouch typeと診断した.嵌入腸管切除と左付属器合併切除を施行した.術後下痢を認めるも軽快し,術後27日目に退院となった.

索引用語
internal hernia, stragulating obstruction

日消外会誌 27: 2481-2485, 1994

別刷請求先
桐山 昌伸 〒467 名古屋市瑞穂区瑞穂町川澄1 名古屋市立大学医学部第2外科

受理年月日
1994年7月6日

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