小腸，結腸ポリープにfocal cancerを伴ったPeutz-Jeghers症候群の1例

藤本　高義, 高見　元敞, 奥村　幸康, 高田　俊明, 北田　昌之, 塚原　康生, 柴田　高, 室谷　昌弘, 飯原　啓介, 渡邊　太郎, 渡辺　康則, 大島　聡, 木村　正治

市立豊中病院外科

　症例は27歳の女性で下血，腹痛を主訴として来院，口唇，手指に色素斑を認めた．家族歴で2歳の娘の口唇に色素斑を認める．小腸X線検査では空腸，回腸ともに大小不同のポリープが散在していた．注腸X線検査では左側結腸に多数の小さいポリープと，S状結腸，下行結腸下端にそれぞれ大きいポリープ1個と認めた．胃十二指腸内視鏡検査で胃に無数の小さいポリープと，十二指腸にも大小不同のポリープを数個認めた．大腸内視鏡検査は注腸X線検査とほぼ同様の所見であった．左半結腸切除，回腸部分切除および十二指腸，空腸切開ポリープ切除を行った．切除しえたポリープは小腸15個，結腸15個で，組織学的にはhamartomaであった．それらのうち空腸とS状結腸のポリープおのおの1個にはhamartoma，腺腫が混在しfocal cancerを認めた．これらはPeutz-Jeghersポリープの癌化を考えるうえで重要な所見である．

索引用語
Peutz-Jeghers syndrome, carcinoma, adenoma

別刷請求先
藤本　高義　〒560　豊中市岡上の町2-1-1　市立豊中病院外科

受理年月日
1994年7月8日

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