原著
胃悪性リンパ腫の生物学的悪性度および予後因子としてのAgNORsの役割
長谷川 順一, 中尾 量保, 仲原 正明, 荻野 信夫, 西田 俊朗, 辻本 正彦*, 濱路 政晴**
大阪警察病院外科, 同 病理*, 国立呉病院外科**
胃原発の非ホジキンリンパ腫(以下,NHL)31例を対象とし,nucleolar organizer regionsassociated proteins(以下,AgNORs)を中心に,細胞学的悪性度と予後の関係を検討した.AgNORsは細胞周期中のS期分画の比率と正の相関が認められた(p<0.01).予後因子として組織型,臨床病期,DNA ploidy,AgNORs,手術根治度,化学療法の有無につき単変量解析を行った結果,臨床病期,AgNORs,手術根治度の3因子に有意の差を得た(p<0.01).次にこの3因子について多変量解析を行った結果,AgNORsが最重要予後因子となった(p<0.05).また治癒切除の23例について,再発の有無でAgNORsを検討した結果,有再発症例(9.5±0.6)は無再発症例(5.4±1.5)に比べ高値であった(p<0.01).以上よりAgNORsは胃NHLの生物学的悪性度を示す良い指標であり予後因子として有用と考えられた.
索引用語
gastric non-Hodgkin's lymphoma, DNA analysis, nucleolar organizer regions-associated protein
日消外会誌 27: 2523-2529, 1994
別刷請求先
長谷川順一 〒565 吹田市山田丘2-2 大阪大学医学部第1外科
受理年月日
1994年9月14日
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