原著
大腸癌肝転移予防のための抗癌剤投与経路に関する実験的研究
高橋 直樹
東京女子医科大学附属第二病院外科
肝転移予防を目的とし抗癌剤含有lipiodol emulsionの投与経路別効果を検討した.まず,抗癌剤としてEpirubicin 0.5 mg/kgをlipiodolとemulsion化し家兎に経肝動脈(以下,IA)または経門脈(以下,IP)的に投与し組織内濃度,血液生化学データの変化を検討した.次に,VX2腫瘍を1.0×106個,経門脈的に移植し,移植後3日目(着床期)または10日目(微小肝転移期)にIA,IPし,16日目の肝表面転移個数で評価した.組織内濃度はIA,IPとも肝臓で5時間以上1 µg/mgが維持された.また,ともにGOT,CPTの上昇が認められたが一過性であった.転移個数は着床期ではIA,IP群ともにコントロール群に比べ有意(p<0.05)に転移個数が少なかったが,微小肝転移期ではIA群のみに有意差(p<0.05)が認められた.IA,IPがともに肝転移発生のごく早期においては有効であるが,それ以降の微小肝転移巣に対してはIAが有効であった.
索引用語
prevention of hepatic metastasis, water in oil emulsion, lipiodol, hepatic artery chemotherapy, portal vein chemotherapy
日消外会誌 27: 2543-2550, 1994
別刷請求先
高橋 直樹 〒116 荒川区西尾久2-1-10 東京女子医科大学附属第二病院外科
受理年月日
1994年9月14日
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