症例報告
癌性食道狭窄3例に対する食道ステントの使用経験
林部 章, 田中 肇, 鬼頭 秀樹, 阪本 一次, 樽谷 英二, 中上 健, 柳 善佑, 十倉 寛治, 浅田 健蔵, 竹林 淳, 佐久間 裕之1), 畑山 充1), 打田 日出夫2)
和泉市立病院外科, 同 内科1), 奈良県立医科大学放射線科2)
われわれはシリコン膜で補強したExpandable Metalic Stent(以下,EMS)を挿入した癌性食道狭窄の3例を経験したので報告する.症例1は49歳の男性で胸部上部食道癌の診断で入院した.食道気管支瘻および気管内播種性転移病変を認めたため,切除不能と判断し,癌性狭窄部にEMSを挿入した.症例2は61歳の男性で,胸部中部食道癌との診断を受けたが,心肺機能低下のため根治手術を施行しえず,姑息的治療としてEMSを病変部に挿入した.症例3は85歳の女性で,胸部上部食道癌であったが,年齢に伴う心肺機能低下のため根治手術を施行しえず,EMSを病変部に挿入した.症例1,2,3のいずれにおいてもステント挿入後食事摂取可能となり,quality of lifeの改善を認めたことより,切除不能癌性食道狭窄に対する膜付きEMSの挿入は有用な姑息的治療法であると思われた.
索引用語
esophageal cancer, expandable metalic stent, palliative treatment
日消外会誌 27: 2564-2568, 1994
別刷請求先
林部 章 〒594 和泉市府中町4-10-10 和泉市立病院
受理年月日
1994年9月14日
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