症例報告
肝inflammatory pseudotumorの1例
平井 隆二, 清水 信義, 曽我 浩之, 臼杵 尚志, 佐々木 澄治*
岡山大学第2外科, 国立岡山病院外科*
肝inflammatory pseudotumor(以下,IPTと略記)は海外,本邦併せて55例の報告しかないまれな疾患で悪性腫瘍との鑑別が困難である.我々は肝IPTの1例を経験したので,文献的考察を加えて報告した.症例は46歳,女性.心窩部痛と発熱を主訴とし入院.白血球は17,000/mm3と上昇し,超音波検査にて肝外側区域に境界不明瞭な高エコー病変と胆嚢結石を認めた.Plain CTにてlow densityで造影するとhigh densityを呈した.血管造影でtumor stainを認めた.内視鏡的逆行性胆管造影で総胆管の軽度の拡張と左主肝管での狭窄,腫瘤内での胆管の不規則な拡張,蛇行および総胆管結石,胆嚢結石を認めた.悪性腫瘍を完全に否定できないため,肝左葉切除,総胆管切石術を施行した.腫瘤は黄白色を呈し組織学的に肝IPTと診断された.炎症を伴う肝腫瘤の診断ではこの疾患の存在の認識が重要と思われた.
索引用語
inflammatory pseudotumor of the liver
日消外会誌 27: 2587-2591, 1994
別刷請求先
平井 隆二 〒700 岡山市鹿田町2-5-1 岡山大学医学部第2外科
受理年月日
1994年9月14日
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