症例報告
外傷性胆嚢破裂の1特異例
安田 博之, 鬼束 惇義, 宮田 知幸
海津部医師会病院外科
腹部鈍的外傷による胆嚢破裂の1例を経験した.患者は49歳の男性.飲酒運転中の交通事故で受傷し来院した.来院時には軽度の腹痛を認めるのみであった.自覚症状に乏しかったが,受傷6日後に総ビリルビン値が5.0 mg/dlまで上昇した.点滴静注胆道造影併用CT,ERCPを施行し,胆嚢破裂と診断し受傷後16日目に手術を施行した.開腹すると,腹腔内に胆汁性の腹水を認めた.胆嚢底部から体部にかけて肝床より剥がれており,体部前壁に直径8 mmの破裂孔を認めた.合併損傷を認めず胆裏摘出術と腹腔ドレナージを施行した.受傷直後より腹部所見に乏しく,食事摂取,歩行も可能で結果的に受傷から手術に至るまで時間を要した.胆嚢破裂の診断にはDIC-CT,ERCが有用であった.
索引用語
rupture of the gallbladder, blunt abdomrinal trauma
日消外会誌 27: 2592-2595, 1994
別刷請求先
安田 博之 〒500 岐阜市司町40番 岐阜大学第1外科
受理年月日
1994年9月14日
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