症例報告
同時性孤立性脾転移を伴った結腸癌の1切除例
大木 聡, 柿沼 巨一, 草場 輝雄, 大和田 進*, 森下 靖雄*
国立高崎病院外科, 群馬大学第2外科*
脾臓にのみ孤立性転移を認めた結腸癌の1例を経験した.症例は73歳の男性で,下行結腸癌と脾腫瘍の診断で入院した.術前の画像診断で,脾腫瘍は原発性か転移性かの鑑別は困難であった.術中に肝転移や腹膜播種のないことを確認して,左半結腸切除術と脾臓摘出術を施行した.結腸の病理組織学的検査は中分化腺癌であり,脾腫瘍も同一組織型で,結腸癌の脾転移と判明した.
大腸癌の脾転移は頻度が低く,特に多臓器転移を認めず,脾臓にのみ転移した例はまれで,本邦報告例は自験例を含めて8例にすぎない.自験例の脾転移経路は,血行性と考えられた.大腸癌の孤立性脾転移の中には長期生存例もあり,積極的に脾臓摘出術を含めた手術を行うべきと考える.
索引用語
colon carcinoma, splenic metastasis, splenic tumor
日消外会誌 27: 2609-2613, 1994
別刷請求先
大木 聡 〒371 前橋市昭和町3-39-15 群馬大学医学部第2外科
受理年月日
1994年9月14日
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