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第28巻 第1号 1995年1月 [目次] [全文 ( PDF 539KB)]
症例報告

術前に経皮経肝門脈枝塞栓術を行い肋骨およびリンパ節転移巣を含めて1期的に切除した進行肝細胞癌の1例

若林 久男, 松下 耕太郎, 濱本 勲, 岡田 節雄, 前場 隆志, 前田 肇, 田中 聰

香川医科大学第1外科

 左第11肋骨,および胃小彎リンパ節に転移を有する進行肝細胞癌に対し,術前に経皮経肝門脈枝塞栓術(PTPE)を行い残肝予備能力の増大をはかったうえで,これら転移巣を含めて1期的に切除し良好な予後を得た1症例を報告する.症例は59歳の男性.門脈の前区域枝と中肝静脈に腫瘍栓を有する前区域中心の肝細胞癌で,肋骨に孤立性の転移巣を認めたが,ほかに遠隔転移巣が認められなかったので1期的に切除することとした.しかし肝予備能力上,中肝静脈を含む拡大右葉切除以上の肝切除を行うには限界と考えられたため,術前にPTPEを行い残肝体積の増加をはかったのち拡大肝右葉切除術を行った.手術時に胃小彎リンパ節に転移を認め,リンパ節郭清を併施した.術後は良好に経過し,術後1年を経過した現在も再発の兆候なく,良好なQOLが保たれている.こうした進行例でも術前に良好な肝機能を有する症例の中に,積極的な切除療法の適応となる例が存在するものと考えられた.

索引用語
hepatocellular carcinoma, metastasis of hepatocellular carcinoma, percutaneous transhe patic portal vein embolization

日消外会誌 28: 57-61, 1995

別刷請求先
若林 久男 〒761-07 香川県木田郡三木町池戸1759-1 香川医科大学第1外科

受理年月日
1994年10月12日

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