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第28巻 第1号 1995年1月 [目次] [全文 ( PDF 630KB)]
卒後教育セミナー

胃癌の縮小手術

愛甲 孝

鹿児島大学第1外科

 近年,癌の治療においては根治性に加えて障害克服的治療といった概念が普遍化しつつあり,胃癌においても合理的治療の一環として縮小手術がクローズアップされるようになった.縮小手術の具体的な内容としては,胃切除範囲の縮小,リンパ節郭清範囲の縮小,大・小網の部分切除,網嚢膜切除の省略,系統的迷走神経温存,などが挙げられており,現実にこのような手術方針によって標準術式と変わらない術後の遠隔成績が得られるようになった.リンパ節郭清の縮小化にあたっては,その理論的根拠となるリンパ管構築とリンパ流を十分に把握することが必要であり,癌の局在,大きさと深達度を考慮して縮小化することが重要となる.胃切除の縮小化に際しては,術前診断と組織学的な浸潤との差異を考慮した診断精度に留意しなければならない.系統的迷走神経温存手術も縮小手術として推奨されるが,その臨床的意義や根治性についてはさらに綿密な検討が必要である.

索引用語
limited operation, gastric cancer, vagal nerve preserving

日消外会誌 28: 82-87, 1995

別刷請求先
愛甲 孝 〒890 鹿児島市桜ケ丘8-35-1 鹿児島大学第1外科

受理年月日
1994年11月9日

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