術後のquality of lifeおよび予後からみた切除不能胃癌に対する空置的胃空腸吻合術の有用性

荒井　邦佳, 北村　正次, 岩崎　善毅

東京都立駒込病院外科

　胃下部および中部の切除不能胃癌を，通常の胃空腸吻合術（通常群）を行った36例と空置的胃空腸吻合術（空置群）を行った21例に分類し，術後のquality of life（QOL）および予後について比較検討した．空置群は重篤な術後合併症である吐下血の発生頻度が少なく，生存月数あたりの輸血量は500 ml/月と通常群の1,288 ml/月に対し有意に少なかった（p＜0.05）．この結果，術後の食事摂取期間（97日：201日）および在宅期間（97日：178日）は有意に延長しQOLの改善がみられた．
　また予後においても改善がみられ，50％生存期間の比較で通常群の111日に対し空置群は189日と良好で有意差が得られた．
　空置的胃空腸吻合術は通常の胃空腸吻合術に比較し，手術時間で約40分延長するが，胃中下部の切除不能胃癌に対し有用であり推奨できる術式である．

索引用語
unresectable gastric cancer, quality of life, gastric exclusion, gastrojejunostomy, palliative operation

別刷請求先
荒井　邦佳　〒113　文京区本駒込3-18-22　東京都立駒込病院外科

受理年月日
1994年11月9日

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