原著
癌の認識からみた胃癌術後quality of lifeの検討
鈴木 孝雄, 落合 武徳, 永田 松夫, 軍司 祥雄, 中島 一彰, 磯野 可一
千葉大学第2外科
胃癌術後患者87例のquality of life(QOL)を癌の認識の有無から検討した.身体的要因,精神的要因,社会的要因の3分野12項目からなる質問票を作成しアンケート調査を行った.アンケート結果を各項目5点,最高60点のQOL評価点とした.癌と認識している患者は有意にQOLがすぐれていた(49.4 vs 45.7,p=0.0067).両群の背景因子に偏りのみられた術後経過期間をQOLの安定する6か月以降,術式を幽門側切除術に限っても癌と認識している患者のQOLが有意にすぐれていた(51.6 vs 45.3,p=0.0014).各要因ごとの検討では,癌と認識している患者の身体的評価,社会的評価は良好であったが,精神的評価は認識の有無の影響を受けなかった.なかでも,病気に対する不安感が術後経過6か月以内で癌と認識している患者に有意に強く認められており(p=0.0136),告知後の精神的な援助が重要であると思われた.
索引用語
gastric cancer, quality of life after gastrectomy, knowledge of diagnosis of cancer
別刷請求先
鈴木 孝雄 〒260 千葉市中央区亥鼻1-8-1 千葉大学医学部第2外科
受理年月日
1994年11月9日
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