原著
大腸癌肝転移切除後の残肝再発に対する再肝切除の意義
東野 健, 吉川 宣輝, 柳生 俊夫, 三嶋 秀行, 玉木 康博, 辛 栄成, 小林 研二, 高塚 雄一
国立大阪病院外科
当科にて初回肝切除を施行した大腸癌肝転移107症例のうち,再肝切除を行った10例を対象として残肝再発に対する再肝切除の意義について検討した.背景因子の検討では,再発までの期間,腫瘍径,あるいは転移個数と予後との関連は明らかでなかったが,肝両葉に再発巣のみられた(H2)症例は早期に残肝に再々発をきたし,予後不良であった.一方,初回切除時を含めても片葉に病巣の限局した症例は長期間無再発生存を示した.再肝切除例の1年,3年,5年累積生存率はそれぞれ75.0%,42.8%,42.8%,無再発生存率はそれぞれ66.7%,33.3%,33.3%であり,初回肝切除に劣らない良好な成績が得られた.大腸癌肝転移切除後の残肝再発に対する再肝切除は根治あるいは延命の期待できる唯一の治療法であり,積極的に取り組むべきものと考えられた.
索引用語
liver metastasis from colorectal carcinoma, second hepatectomy, recurrence after hepatic resection, hepatectomy for liver metastasis
別刷請求先
東野 健 〒540 大阪市中央区法円坂2-1-14 国立大阪病院外科
受理年月日
1994年11月9日
|
PDFを閲覧するためにはAdobe Readerが必要です |
|